어린왕자이야기
ヴォイス 03 본문
『15年前の母の死因は』
東凛大学医学部のゼミ生・加地大己(瑛太)、石末亮介(生田斗真)、久保秋佳奈子(石原さとみ)は、タクシーの中で突然死したという女性の遺体と対面する。
解剖台に横たわる女性を見た教授・佐川文彦(時任三郎)は、死因がクラッシュシンドロームではないかとの見解を示す。助教・夏井川玲子(矢田亜希子)は、クラッシュシンドロームは別名を挫滅症候群といい、事故などで身体が長時間圧迫された後に急に開放されることで起こる症候だと説明。
そんな中、佐川はその証拠ともいえるアザを女性の足に認める。すると、それを見た佳奈子が涙を流す。
その後、佳奈子は大己と亮介に、女性のアザが母親が亡くなったときのアザに酷似していたと話す。15年前、心臓発作で亡くなったはずの母親にアザがあるのを不審に思った佳奈子は、大人に訴えるが相手にされなかった。以来、今でもそれが気になっているという佳奈子に、大己は今からでも調べられるのでは、と事もなげに言う。
そして、大己ら3人は、かつて佳奈子の母親・雪子が勤めていた工場へとやってくる――。
公式HPより
クラッシュシンドローム。挫滅症候群。
私もこの言葉を阪神淡路大震災で知りました。
長時間圧迫された後に急に開放されると、カリウム等が過剰に放出、
心不全を引き起こすことがある。
女性のアザを見た佳奈子は、母親の遺体に出来ていたアザを思い出す。
佳奈子の話を聞く大己と亮介。
「お母さんね、工場の仕事していたんだけど、
タイムカードは、帰る直前に押すのが習慣だった。
でもあの日、タイムカード押した後なのに、デスクに座ったまま、
息を引き取ってた。
おかしいなぁってずっと思ってた。
前の日にはなかったのに、何で足にアザがあるんだろう。
仕事終わったのに、何でデスクに戻ったんだろうって。」
「それって今からでも調べられるんじゃないの?」と大己。
「うん?」
「だっておかしいと思ってるんでしょう?」
「でも、15年も前のことだし。」
「やれるだけのこと、やってみればいいじゃん。」
「そうだよ、やってみろ!」と亮介。
「お前も手伝うんだよ。
おばさん(鳳子)に言われただろ?
男なら、責任持って、盛り上げろって。」
こうして三人は、佳奈子の故郷へ。
「雪さんのいた頃の工場は、本当に明るかった。
仕事には厳しかったけどね、いつも、みんなに声を掛けてくれてな。」「あの日、母がどうしてたのか知りたいんです。
この工場で、何があったのか。」
「ずいぶん、昔の話だからね・・。」
当時雪子が書いた伝票を調べていた大己は、箱の中から雪子の軍手を
見つける。
退出記録は18時3分。
三人は、当時一緒に働いていた八木を訪ねていく。
彼は工場を辞めて今は駄菓子屋たかしを営んでいた。
「雪さんか・・。
仕事の担当が全然違ったから、朝と帰りに挨拶するぐらいしか
接点なかったんだよね。」
「八木さんは、どんな仕事をされていたんですか?」
「完成したパイプイスを、検品して納品する作業だ。
それで腰やっちゃって、10年前から親父の跡継いでこの店やってんだ。
陣さんの方が雪さんのこと色々知ってるんじゃないのかな。
二人、仲良かったし。」
「あの!このあんこ玉5個下さい。」と大己。
「50円。」
「はい。」
続いて三人は高田という人物を尋ねて小学校へ。
だが彼は既に小学校を辞めてしまっていた。夜逃げしてしまったらしい。
写真が貼られた掲示板の前で足を止める三人。
亮介はカメラによく撮ってもらえるポジションを狙っていたと話すと、
「私と真逆だね。
学校の行事とか嫌いだった。
お母さん、日曜日も別の仕事しててさ。
授業参観とか運動会とか、みんな来られなくて。
お母さんにとったらそれどころじゃなかったんだろうけど、
でもやっぱり・・他のお母さんが来ているのを見ていると、
羨ましいなって・・。」
佳奈子はそう寂しそうに話す。
派出所で話を聞く三人。
警官は、遺族なら検視調書が見られるのでは、とアドバイス。
警察署で調書を見せてもらう佳奈子。
そこで佳奈子は母の遺体の写真を見つめ・・。
大己は一人で工場に戻り、陣に話を聞いてみる。
「雪さんってどんな作業やっていたんですか?」
「パイプイスのパイプの部分、あれ。
仕事はプロ中のプロだったよ。
男なんか目じゃないってくらいにね。
ちんたらやってるヤツには厳しかったからね。
若いやつで、雪さんのことを、鬱陶しく思っているやつは、
いたかもしれないな。
もう、うちじゃ、パイプイスを作っていないからね。
この機械も、使っていないんだ。」
「当時の得意先リストみたいのはありますか?」
「ああ、ちょっと待ってて。」
陣が席を外した時、大己は毛糸につながれたエンピツを見つける。
両端が削ってある。確か佳奈子も家でそう使っていたと言っていた・・。
「そういえば、昼飯はいつもここで一人、弁当を食べてたな。」
「意外ですね。明るい人だって聞いていたから。」
「だろ?それで俺も一度、聞いてみたことがあるんだ。
どうしてみんなと一緒に食べないんだって。
そしたら、何ていったと思う?
手抜き弁当、見られるの、恥ずかしいからだってさ。」
「・・・」
佳奈子は写真を警察に借りて佐川教授に見せていた。
「遺体が残っていないからね、フラッシュシンドロームの可能性
十分にあるけれど断定は出来ないなl
血中や尿中のミオグロビンの量が測定できて初めて
クラッシュシンドロームだと推測できるわけだから。」
「・・・今更、いくら頑張っても死因はわからないってことなんですね。」
「事故に逢ったとかそういう証言が出てこない限りは難しいだろうな。」
「・・そうですか。わかりました。ありがとうございました。」
「クラッシュシンドロームっていうのはさ、死因の中で唯一、
人の優しさが引き起こす、死なんだ。」
「優しさですか?」
「阪神淡路大震災の時にレスキュー隊の手が足りない地域では、
近所の人たちが総出で、倒壊した家の中に埋もれた人たちを救助した。
見捨てるわけにはいかないからね。
そういった気持ちで必死で助け出した。
それが、死に繋がる事だとは誰も思ってなかったからね。
だから、フラッシュシンドロームっていうのは、悲しいことだけど、
そういう、死なんだ。」
「・・・」
大己は納品されたパイプイスを見学させてもらっていた。
パイプイスに座り考え込む大己。
「・・・あ!!」
2時間に1本しかない、しかも最終バスを乗り過ごしてしまった!
そんな中、亮介の父親が法医学ゼミに電話を掛けてくる。
「どういう手違いかわかりませんが、どうも、うちの息子が
そちらのゼミに入ってしまったようで。
すぐに辞めさせて、島田教授のゼミに移動させます。
教授にも、そうお伝え下さい。」
「いいんですか?本人はそれで。」と玲子。
「ハハハ。魔が差しただけですよ。
法医学を本気でやろうと思っているとは到底思えない。」
佳奈子と一緒に歩く亮介。
「大己は、よくやるよな。
佐川先生に強引に引っ張られて法医学始めたのにさ。
あんなに夢中になってやってるし。
あーやっぱ、こいつスゲーなって思うとこあるしさ。
・・アキも、スゲーと思うよ。」
「え?」
「両親いないのに、必死に勉強して医大に入って。
ちゃんと目的持って法医学者目指してる。」
「たまたま奨学金取れただけだよ。」
「俺なんてさ、親父の敷いたレールどおりに医大に入っただけで、
目的もビジョンも、何もなかった。
親父は、一代で今の病院作って、スゲーなって思う。
でも、俺には跡を継ぐなんて無理だなって思った。
怖くなったんだよ。生きている患者さんと向き合うのがさ。
だから法医学にしたんだ。」
「え?」
「笑っちゃうくらい後ろ向きだろ。
法医学は、生きている人間と向き合わなくて済む。
それだけの理由でこの道目指してるバカなんてさ、多分世界中探しても
俺しかいないと思うよ。」
「・・・私だって、本当に法医学でよかったのかなって思うことあるよ。
ずっと知りたかった15年前のことだって、結局わからないままだった。」
「・・・」
亮介が研究室に戻ってくる。
哲平たちはサンプルにコーヒーをこぼしてしまい、
蕪木を手伝っていたのだ。
「俺も手伝うからさ。
分析結果出るの、3日も待っているんだろ?この遺族。
早く終わらせて、蕪木さんに、もう一回アキの母ちゃんの分析頼みたいんだ。
アキはさ、知りたいって思い続けて、15年も待っているんだよな・・。
いい加減待ちすぎだろ。」
その様子を見ていた蕪木は・・。
よく朝、佳奈子がゼミにやって来ると、母親の軍手の分析がされていた。
徹夜で作業を終えた亮介たちがソファーで眠っている。
工場のソファーで眠る大己の携帯が鳴る。
「もしもし?なんだアキかー。
どうした?」
「お母さんの手袋についていた成分、」
「頼んだけどダメだったんだろ?」
「今来たら、机に分析結果が置いてあったの。
蕪木さんがみんなと一緒に徹夜でやってくれたみたい。」
「そっか!」
「データ読み上げるね。」
「ちょっと待って。いいよ。」
「鉄やその他の金属片。それとアクリル系ポリマ。」
「アクリル系ポリマーって何?」
「シールの粘着部分とかに使用されている成分。」
「・・・」
「どれも、工場にありそうなものだし、手がかりになりそうなもの
ないみたいだね。
もう昔の事だし、」
「・・・パイプイス!」
「ね、聞いてるの?」
「アキ!今からこっち来いよ。」
「何で?」
「いいから早く!急がないとバス2時間待たされるぞ!」
「乗り遅れた人に言われたくないんですけど!」
電話が切れてしまう。
「何?ムカツク!」
玲子は亮介を起こし、外で話す。
「有名なお父さんを持つと大変よね。
こうなること、何となくわかってたんでしょ?」
「・・・」
「でもあなたにはお礼を言わなきゃね。」
「え?」
「あなた達がゼミに入ってきたときにね、佐川先生と、何人残るか
賭けをしたの。
佐川先生は、最後まで5人全員残るって賭けたから、これで私の負けは
なくなった。」
「待ってください。
俺、楽しくなってきちゃったんですよね、法医学。
だから・・このゼミやめません。
玲子さんには、申し訳ないんですけど、最後まで残りますから。」
「私じゃなくて、もっと言うべき人がいると思わない?
お父さんとちゃんと闘えるの?」
「・・・」
大己は佳奈子を連れて、駄菓子やたかしへ。
「こんにちは。」
「あ!又来たの?」
「これ当たりました。」
「はい。」
呑気に買い物する大己に苛立つ佳奈子。
「こいつ怒りっぽいと思いませんか?」と大己。
「そうかな。」
「何事も、きっちりしないと気がすまないタイプなんですよね。」
「そっちがだらしなさ過ぎるんでしょ!」
「・・やっぱり、雪さんに似たのかなって。」
「え?」
「・・・」
「もしかしたらなんですけど、15年前の2月7日、一番最後に、
雪さんと話したの、八木さんじゃありませんか?」
「・・・」
「あの日、八木さんがパイプイスを納品に行った会社に行ってきたんです。
八木さんが納品先を訪れた時間が、記録に残っていました。
21時過ぎです。
工場から、車で10分程の距離。
でも、工場のタイムカードには、18時以降残っている工員の方は
いませんでした。」
「・・飯でも、食べてたのかもしれない。」
「納品済ませるのにそんなことするでしょうか。
納品したパイプイスを見せてもらったんです。
そしたら、イスの裏に張ってある検品シールの筆跡が、
一人じゃありませんでした。
検品の仕事をしていたのは、担当である八木さんだけだったはずです。
でもそのシールには、雪さんの筆跡がありました。」
「え・・」と佳奈子。
「あの日、雪さんは工場に残って、八木さんと一緒に残業してたんだと
思うんです。
雪さんがあの日付けていた手袋から、検品シールを貼るときに使う
ノリの成分が見つかりました。
雪さんが、普段の作業では決して触らないものですよね。」
「・・・あの日・・確かに・・雪さんと最後まで工場にいました。」
納品に向かうトラックの荷台に気づく雪子。
パイプイスには間違って古い検品シールが貼られていた。
そのまま納品に向かおうとする八木に、
「諦めたらその人の人生はそこでおしまいだって、
どっかの偉い人が言ってるでしょ。
まあいいか、これでいいよが堕落の始まり!
これは・・小学校の時の担任の言葉!」
雪子は八木と一緒に直し始めた。
「雪さん、僕に気を使わせないように、最後まで楽しそうに・・
作業してた。
帰ってくるまで、1時間ぐらい掛かっちゃって。
もう帰ったかなと思ったら、雪さんの自転車が残ってたんだよ。」
八木が工場に戻ると、雪子は鉄パイプの下敷きになっていた。
「雪さん!!雪さん!!大丈夫ですか!?」
「あ・・八木君・・イタタタタ・・」
「大丈夫ですか!?」
「大丈夫。急に倒れてきて・・びっくりしちゃった。」
「病院行ったほうがいいんじゃないんですか?」
「骨も折れてないし、平気平気!湿布でも貼っておけば大丈夫よ。」
「車あるし、送っていきますよ。」
「あんたもしつこいわねー。
私、うちに電話してから帰るから、さき帰って。
ほら早く!奥さん待ってるんでしょう?」
「今日は、本当にありがとうございました。」
「じゃ、明日またね。」
「お疲れ様でした。」
「お疲れ様!
おやすみ。」
「失礼します。」
「まさか・・あのまま息引き取るなんて思ってなくて・・。
余計な仕事で無理したせいで・・心臓発作を起こしたんじゃないかと
思った・・。怖かった・・。
名乗り出られなくて・・・本当に・・申し訳ないと思っています・・。」
泣きながら謝罪する八木。
「正直・・もっと早く言ってくれれば、良かったのにと思います。
15年間・・知りたくてずっと待っていましたから。」
「・・・」
「でも・・八木さんのせいじゃありません。
母は恐らく、クラッシュシンドロームという症状で、
亡くなったんだと思います。
それがわかっただけでも、感謝しています。
話してくれて、ありがとうございました。」
「・・・」
「一番最初にここに来た時に思ったんです。
お菓子の名札の数字が、雪さんの数字の書き方だなって。
雪さんの、7の数字の書き方、特徴ありますよね。
横に棒がチョンと入って。
八木さんが書いたほうの検品シール、途中までは普通の、
7だったんですね。」と大己。
それは雪子が、八木の書く7と1が紛らわしいので
横に棒を入れるよう教えたのだった。
「社会人になってから書く字はね、自分のためじゃなくて、
人に読んでもらうための字なのよ。」
「あの日以来、7を書くたび・・雪さんのこと思い出しちゃって・・。」
八木はそう言い、肩を振るわせた。
工場
陣に礼を言う佳奈子。
機械の脇で大己が何かを見ている。
「何してるの?」と佳奈子。
「一つだけどうしても気になっていたことがあったんだけど、
思ってたとおりだった。」
「何が?」
「雪さん結構仕事サボってたんだな。」
「え?」
「あんたね、雪さんを侮辱するようなことを言ったら、承知しないよ。」と陣。
「だってこれ。機械のマニュアルが置いてあるのかと思ったら、
こんなもん置いてあったんですよ。」
大己がノートを佳奈子に渡す。
それは、佳奈子のアルバムだった。
「本当は、どんな親よりも、気になっていたんだな。
授業参観も運動会も、本当は行きたくて行きたくて。
たまらなかったんだよ、きっと。」
「そうだと思うよ。娘の、後姿しか映っていない写真まで、
わざわざ買う親は、雪さんぐらいしかいなかったと思うよ。」
「・・・」
「陣さんから、雪さんが、ここで一人で昼ごはん食べてたって
聞いたとき、不思議に思ったんだよ。
みんなの中心にいたような明るいお母さんが、どうしてだろうって。
きっとここで、写真見ながら弁当食べてたんだな。」
「・・・本当はわかってた。
一緒にいれなくて、一番寂しい思いをしているのは、
お母さんだってこと・・。」
雪子は子供たちに弁当を渡す時にこう言っていた。
「別々の場所にいても、今日も三人、同じお弁当食べるんだぞ!」
母の笑顔を思い出し、号泣する佳奈子・・。
雪子の残業の謎、そして、アザのあと。
15年前、警察が子供たちに説明してあげることは出来なかったのかな・・。
八木にもう少し勇気があれば、佳奈子はこんなにも長い間
苦しむことはなかったのに・・。
大己のお陰で佳奈子は、15年前、母が職場のみんなにとても慕われて
いたことと、責任感がとても強かったこと、そして、娘たちのことを
とてもとても愛していてくれたことを再確認することが出来ました。